米国で台頭するアクティブETF

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米国で台頭するアクティブETF

ETF投資入門の著者であるカン・チュンド氏のコラムです。

最近、ETFの業界では上場金融商品(Exchange Traded
Products)という言い方が
広まってきています。
略して「ETP」
どうして「ETP」という言い方をするかというと、米国ではもはやひと括りで多様な
上場商品を語り切れなくなっているためです。たとえば、特定の指数や、資産価格との
連動を目指すだけではない、「アクティブ型の上場商品」が台頭しています。

もともとETFは、上場インデックス・ファンドと定義されてきたんですが。
台頭してきているアクティブETFの現状は下記のようになっています。

全ETF インデックスETF アクティブETF
上場数 1455 1090 53
純資産額 1兆3,095億ドル 1兆2,125億ドル 85億ドル

※2012年9月データ XTFより

表を見ればわかるように、上場数、純資産額ともにインデックスETFの方が
上回っています。
しかし、インデックスETFの登場が1993年
アクティブETFの登場が2008年なので
これからというところでしょう。

* * *

アクティブETFにとって最大の課題は、

情報開示の義務をどうクリアするかでしょう。ETFは日々、自身のポートフォリオを
開示することが義務付けられています。これは投資家にとっては透明性を担保する
よい仕組みなのですが、アクティブETFの運用会社としては運用の手の内を明らかに
することになるため抵抗が強いのです。

ではアクティブETFはなぜ台頭してきているのでしょうか。

自身のアクティブ・ファンドを市場に上場させ、アクティブETFとすれば、販売会社が間に
入ることがなくなるため、信託報酬などの年間報酬を引き下げても、自身の実入りは
多くなる可能性が高くなるのです。
* * *

アクティブETFの内訳はどうなっているのでしょうか。

全アクティブETF 株式ETF 債券ETF 通貨ETF
上場数 53 17 20 7
純資産額 85億ドル 4920万ドル 70億ドル 6640万ドル

※2012年9月データ XTFより

債券ETFが上場数、純資産額ともに最も多いです。
今年の3月に米国市場に上場を果たした「ピムコ・トータルリターンETF」は
上場から半年ほどしか経っていないのですが、時価総額は26億5,000万ドルと
アクティブETFの代名詞となりつつあります。

(ちなみに全ETFで最も純資産額が大きいETFはS&P 500に連動を目指す「SPY」で、
純資産額は1,161億ドルとなっています。)

意外なのが通貨ETFよりも株式ETFの方が数は多くても純資産額が少ないです。

Expense ratio(経費率)の平均が
アクティブ株式ETF・・・1.28%
アクティブ通貨ETF・・・0.46%
と高い経費率に嫌気されているのではないかと推測します。

米国ではインデックスETFが成熟したからこそ、アクティブETFの台頭が始まっています。

日本ではインデックスETFの成熟すらまだなので、
今後、資産形成の核となるようなETFの充実を望みます。