金融自由化以降の投信マーケットの状況と今後の課題

投資

4/6(金)に第2回金融審議会が金融庁で行われました。

「投資信託・投資法人法制の見直しに関するワーキング・グループ(WG)」説明資料
金融自由化以降の投信マーケットの状況と今後の課題(pdf)

・投信残高の拡大と要因の概観
・投信残高拡大の要因Ⅰ:外部環境
・投信残高拡大の要因Ⅱ:毎月分配型の登場
・投信残高拡大の要因Ⅲ:運用のアウトソースの解禁
・投信残高拡大の要因Ⅳ:販路の拡大(投信窓販解禁、DC制度発足・・・)
・投信は個人の資産運用に役立ったか
・投資家にとって、より魅力的な金融商品となるために

ざっくりキーワード
高齢化社会、毎月分配型、分配金利回り、公募投信の約8割は赤字、銀行等窓販、
実質信託報酬率の上昇、ネット専業証券4社の投信残高比率は2%を少し上回った

詳しくは上記資料をご覧ください。

個人的に気になった「投信は個人の資産運用に役立ったか」をピックアップします。

投信を保有している人の割合は未だ低いものの、全国的に増加している
・投信を保有している人の割合は未だに低く、10%に過ぎない
・投信を保有する人の割合の変化を見ると97年から09年の12年間で8%から10%に増加
・地域別に見ても、全ての地域で増加している

私の住んでいる東海地方は自分たちが納得しないことには飛びつかず、
堅実に貯蓄に努めていると思いきや
関東地方を抜いて最も投信保有率が高い事に驚きました。

統計局ホームページ/3 貯蓄・負債より

投信保有者の割合は年齢が高いほど上昇、若年層は増えていない
・ ’97年から’09年の12年間に、60代男性(女性)の中で投信を保有している人の割合は、5%(4%)増加。
同期間に、50代男性(女性)の中で投信を保有している人の割合は、4%(2%)増加。
40代男性の中で投信を保有している人の割合は、4%増加。
・ 20代男女、30代男女、40代女性の中で投信を保有している人の割合は横バイないしやや低下している。
30代の男女の投信保有率が低下しています。
結婚⇒出産⇒育児⇒マイホーム取得と大きな出費が重なる年代です。
しかし、景気の悪化の為、給与収入が減少している事が投資に回せるお金を
少なくしている原因ではないでしょうか。

国税庁 民間給与の動向 1.平均給与(pdf)より作成 

投資家は市場のトレンドに左右されやすく、そのために投資家リターンが低くなっている
・相場の上昇と共に購入額が増え、結果として投信の購入額は相場のピーク時に集中することがある。
・このため投資家の収益率(投資家リターン)は分配金込み基準価額の変動(ファンドリターン)を下回る傾向がある。
・’97年4月~’03年9月の調査では国内株式一般型の平均リターンに対して投資家リターンは8.5%(年率)低かった。
噂で買って事実で売れではないですが、相場のタイミングを計ることは
大多数の個人投資家にとっては難しい事です。
結果、高値で購入し損失を被る。
米国でも同じような傾向があるのは意外でした。

※レポートより引用

最後に投信の課題として

・多くの人が投信を保有しやすい環境の整備
⇒確定拠出年金制度、日本版ISAの拡充

・投資家の運用収益の向上
⇒ファンドの運営効率の向上(運用以外の業務アウトソース、小規模ファンドの整理統合の推進)

・顧客のキャッシュフロー・ニーズに応える
⇒事前の契約に基づき定期的に投信を売却してキャッシュフロー作るサービスを提供する
⇒積極的に元本を払い出すタイプの投信について特別な区分を設ける
(例えば「元本払出型」等のタイプを業界で設け、他のタイプの投信と区別し易いようにする)

などが挙げられています。
政策と販売会社、運用会社。更には投資家が一体とならなければ 、
資産形成環境はより良くならないでしょう。

上記の事も大切だと思いますが、まずは投資信託を購入し成功体験が
いくつか出てこなければ、資産形成の為の優れたツールだとしても
関心は集まらないと思います。

投資家の声が届き、反映されることを切に願っています。

また竹川美奈子氏の資料「投資家目線でみた投資信託の現状と課題(pdf)」については

【投信業界は注目すべし】 竹川美奈子氏の金融審議会での資料がイケてる件 
– 梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー(インデックス投資実践記)
にて良質な記事がアップされています。
是非、ご覧ください。