低金利下の我慢比べを競う債券運用

投資

悩む、落ち込む

山崎元のマネー経済の歩き方
低金利下の我慢比べを競う債券運用

ヘッジ付き外債

ある信託銀行が提案した運用商品のパンフレットには国内債での通常の運用と、
外国債券に投資しつつ為替リスクはほぼすべてヘッジする「ヘッジ付き外債」での
運用とを、局面によって入れ替える商品があります。

金利が

短期  長期 
日本  0.1% 0.2%
外国  0.8% 2.0%

と仮定した場合、

この外国債券を買って、短期の為替予約で全額ヘッジするとすべての金利が不変なら、
為替リスクはほぼゼロで、1.9%の利回りが期待できるポジションが取れます。

賭けられない戦略


このポジションは、円預金を持ち、外貨を短期のロールオーバーで借り、
外国の長期債に投資するのと同じだ。
外国の長期金利が上昇した場合、債券が値下がりして損失が発生する。
外国の長期金利が、低下するか少なくとも上昇しないという強い予想がなければ、
賭けられない戦略だ。
この戦略はアメリカやドイツの10年国債利回りは共に歴史的に見て低い水準で
推移しています。
そこから利回りが更に低下すると賭けなければなりません。

加えて

この商品は、ヘッジ付き外債運用と通常の国内債運用を時によって
入れ替えて、安定した高利回りを目指します。
パンフレットの「規律あるリバランス・ルール」とはうまい表現ですが、
上手く立ち回れるのでしょうか。
手数料も合わせて考えるとおすすめできる商品ではありません。

「出血サービス」(利益にならない)をしている商品

超低金利の下でも、運用対象に優劣はあります。
売り手が「出血サービス」(利益にならない)をしている商品を
見逃すのはもったいないです。

例えば少し前に話題になりましたが、社員の福利厚生(社内預金制度)として
・持ち家財形貯蓄奨励金 非課税 年3.5%

という企業もあります。

社内預金制度は、企業が社員の給与の一部を天引きして預金を
管理する仕組みです。
福利厚生制度の一環として金利は高めに設定されており、下限は年0.5%です。
厚生労働省:労働基準情報:社内預金制度:社内預金制度の適正な運用のために(pdf)

ご自身が勤めている企業に社内預金制度がないか調べることをお勧めします。

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仕組みが複雑で手数料が高い場合、
有利な運用が出来る商品はまずありません。